元素・組成調査

元素分析・組成を調査することによって以下のような問題に対し解決の糸口となります。

また異物分析には欠かせないものです。分析では外観検査により、形状等で無機物有機物を大まかに判断したのちに見合った分析法へと進めていきます。下記に各分析装置を用いた分析例を記載します。

めっき層分析(EDSによる元素マッピング)

ねじは、使用箇所や条件により様々な表面処理を施したものが使われています。その表面処理は、電気メッキ、無電解メッキ、溶融メッキ、化成処理、塗装と多種多様にわたります。その中でもどのような表面処理を施したのか、見た目で判別できない似かよった色合いのものあります。
以下3種類の色合いのねじについてどのような表面処理を施したのか、断面試料を作製し元素分析を行い検討しました。

ねじ外観及び断面試料作製

前処理として、①~③のねじを切断後、数種の熱間硬化樹脂に埋め込み、研磨・琢磨を行いました。
外観より①は黄褐色、②は銀色で干渉色、③は黒色を呈しています。
推測では①はクロメート品、②はユニクローム品、③は黒染と思われますが、実際は不明です。
よってSEM-EDSにて観察、元素分析を実施しました。

それぞれのねじをsem,edsをつかい観察→元素分析 元素マッピング 表面処理層厚み計測を実施

ねじ-①【元素分析・元素マッピング・表面処理層厚み計測結果】

元素分析

EDS(エネルギー分散型特性X線分析装置)での元素分析の結果、C,Al,Si,Fe,Znが検出されました。
C,Al,Siは埋め込み樹脂成分や研磨剤残渣等、Feはねじの主成分、残るZnがめっき成分であると思われます。
よってC,Fe,Znの元素がどのように分布しているのか確認するためマッピングを行いました。

ねじ1元素分析結果

元素マッピング

マッピングからわかるように、このねじの表面処理は亜鉛メッキであることが推察されます。
よって外観による色合いと元素分析により、推測したクロメート品である可能性が高いことが示唆されます。

ねじ1元素マッピング Fe,Zn,Cの分布を色分けし図示

元素マッピング結果からSEM画像における3元素の検出強度プロファイル

表面処理層厚み計測

計測位置厚み[μm]
17.673
28.983
37.387
49.505
57.635
厚み平均8.237

SEMでの測長の結果、図像内における表面処理厚み平均は8.237μmであることがわかりました。

ねじ1表面処理厚み計測

ねじ-②【元素分析・元素マッピング・表面処理層厚み計測結果】

元素分析

EDS(エネルギー分散型特性X線分析装置)での元素分析の結果、C,O,Al,Si,Ca,Cr,Fe,Znが検出されました。
C,Al,Si,Caは埋め込み樹脂成分や研磨剤残渣等、Feはねじの主成分、残るZnがめっき成分であると思われます。
よって検出元素がどのように分布しているのか確認するためマッピングを行いました。

ねじ2元素分析結果

元素マッピング

マッピングからわかるように、このねじの表面処理は亜鉛メッキであることが推察されます。
よって外観による色合いと元素分析により、推測したユニクローム品である可能性が高いことが示唆されます。

ねじ2元素マッピング Fe,Zn,C,Siの分布を色分けし図示

表面処理層厚み計測

計測位置厚み[μm]
16.175
25.772
35.385
47.521
56.731
厚み平均6.317

SEMでの測長の結果、図像内における表面処理厚み平均は6.317μmであることがわかりました。

ねじ2表面処理層厚み計測

ねじ-③【元素分析・元素マッピング・表面処理層厚み計測結果】

元素分析

EDS(エネルギー分散型特性X線分析装置)での元素分析の結果、C,Feが検出されました。
Cは埋め込み樹脂成分、Feはねじの主成分であると思われます。これでは表面処理層の成分が何なのか不明なため、図での黄色い枠線で囲ってある箇所を拡大して、再度元素分析を行いました。
結果、C,O,Si,Feが検出されました。特にOのピーク強度が高くなっていることが確認できます。
拡大前に分析した結果では、FeのL殻起因のピークの肩口で隠れてしまい、自動検出されなかった可能性が高いと推測されます。

ねじ3元素分析結果 ねじ1ねじ2よりもさらに拡大して分析することで、正確な分析結果を得ることができた

元素マッピング

①、②同様に検出元素がどのように分布しているのか確認するためマッピングを行いました。
尚、対象元素は、ねじの主成分Fe、樹脂の主成分C、拡大して分析した際に強度が高かったOの3元素にて行いました。
結果、マッピングからわかるように、このねじの表面処理層にOが特に集中しており、この部分に色合いとして薄くFeも重なっていることが見てとれます。
よって表面処理層はFeの酸化物である可能性が高いことが示唆されます。

ねじ3元素マッピング Fe,C,Oの分布を色分けし図示

表面処理層厚み計測

計測位置厚み[μm]
11.740
21.740
31.550
43.056
51.318
厚み平均1.881

SEMでの測長の結果、図像内における表面処理厚み平均は1.881μmであることがわかりました。

ねじ3表面処理層厚み計測

有機物成分推定(FT-IRによるスペクトル解析)

異物分析や成分分析では、外観検査により無機物有機物か大まかに判断したのち各分析装置にて分析を行います。無機物の場合は含有元素、有機物の場合は構成成分を分析より情報を得て問題解決の糸口とします。
有機物の分析ではFT-IR(フーリエ変換赤外分光光度計)、GC(ガスクロマトグラフ)、LC(液体クロマトグラフ)、UV-Vis(紫外可視分光光度計)、NMR(核磁気共鳴装置)などが主に使用されます。その中でFT-IRは簡便に分析が可能で分析時間も短いため、成分推定によく用いられています。
以下、代表的な樹脂など計測したスペクトルを列記します。

※注)名称としてあげている材料の含有量は各サンプルによって異なります。参考スペクトルとしてご覧ください。

【例:熱可塑性樹脂-汎用プラスチック】

PP(ポリプロピレン)PE(ポリエチレン)PMMA(アクリル)ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)

【例:熱可塑性樹脂-エンプラ】

PA6(ナイロン6)POM(ポリアセタール)PC(ポリカーボネート)PBT(ポリブチレンテレフタレート)

【例:熱可塑性樹脂-スーパーエンプラ】

PPS(ポリフェニレンサルファイド)PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)PEI(ポリエーテルイミド)PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)

【例:熱硬化性樹脂】

PF(フェノールフォルムアルデヒド)PUR(ポリウレタン)

【例:その他】

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