材料・部品の品質確認、問題解決のお手伝いをする 東邦化研材料解析部

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異物分析

異物は、製品ができるまでの様々な工程に存在し、製品不良の原因となります。この問題解決には、異物の出所を探る必要があります。異物の成分を調べることにより、どのプロセスで異物が混入、付着したのか、原因究明の手助けとなります。当社では、お客様より少しでも多くの情報をいただき、原因究明の手助けができるよう努めております。

※分析をご希望される対象物に関する情報を共有するため、様々な情報をお教えください。

異物のサンプリングについて

工業製品の高機能化に伴い、その性能や信頼性から求められる品質要求は高くなり続けております。その中で発生する異物の問題は、避けては通れません。近年、製品の小型化に伴い、問題となる異物のサイズも小さくなっており、分析前処理としての採取が重要となります。

製品の高機能化に伴い異物のサイズも微小化。サンプリング技術が重要。

微小異物のサンプリング

形状、形態にもよりますが、手動によるサンプリングでは、50µm程度が限界です。静電気による微小異物の消失や、基材への付着力が強く、ピッキングできないなど、小さくなればなるほど困難になります。そこで当社では、サンプリングステーションを用い、自動によるサンプリングにより10µm以下の異物も採取可能です。

サンプリングステーションによる異物採取

フィルム付着物の分析

フィルム(シール)の表面に白色の透明な異物が確認されました。サイズも500μm以上とかなり大きなものです。目視による観察では、上層フィルムと一部つながっている様に見えます。また、その感触は柔らかく弾力のあるものです。上層フィルムが異物全体を覆っているかは不明です。よって断面を切り出し、SEM-EDSで異物の形態観察及び元素分析を実施、その結果をふまえてFT-IRによる組成調査を実施しました。

付着物を実体顕微鏡にて観察 感触:柔らかい 上層フィルムと一部つながっている?

実体顕微鏡及びマイクロスコープ観察し異物の状況確認を行いました。異物の感触は柔らかく、一部上層フィルムとつながっていることが確認できます。異物を半分にカットし、①SEM-EDSにて形態観察及び元素分析、②FT-IRで成分の推定を行いました。

付着物をマイクロスコープにて拡大観察 切断しての観察により、上層フィルムと一部つながっていることが確認された

①SEM-EDSでの形態観察及び元素分析

SEM像及び元素分析結果 SEM像(異物断面)フィルム構成(3層)上層下層粘着層に分かれている 異物の一部はフィルムとつながっている EDSによる元素分析(異物断面) 異物断面の元素分析結果 検出元素 C,O,Mg,Al,Cl,Cu

SEM観察にて、異物の色合いが濃い(黒っぽい)ことから試料台の材質より低い原子番号の元素を多く含む可能性が高いことが伺えます。(低真空ModeでのZコントラストによるもの)また、上層フィルムと一部つながっておりこれを考慮してFT-IR用にサンプリングする必要があります。
EDSによる異物部分の元素分析では、C,O,Mg,Al,Cl,Cuが検出されました。
上層、下層、粘着層も同様に分析を行いましたが、異物の成分を決定づけるような結果は特に得られません。
観察像と検出元素、感触が柔らかかったことをふまえると、有機物であると推定されます。

②FT-IRでの成分推定

異物のFT-IR計測結果をライブラリー検索 ライブラリーでヒットしたスペクトルと比較 3000cm-1付近と指紋領域に類似箇所

FT-IR計測の結果、2800~3000,1450cm-1にパラフィンに起因するピーク、1730,1250,1170cm-1付近にエステルに起因すると思われるピークが検出されました。
ライブラリー検索の結果、アクリル系粘着剤とほぼ一致し、指紋領域においてもほぼ同じ波数にピークが確認されたことから、異物はアクリル樹脂であるものと思われます。
表層や下層とは異なり、粘着層とほぼ同じ波形形状を示していることも確認されたことから、粘着層の残りがいずれかの工程で表層に付着したものと推測されました。

繊維状異物の成分調査

基板上に繊維状の異物が確認されました。調査のため外観の観察の後、サンプルの採取を行います。

基板外観

基板上の繊維状異物

FT-IRによるIRスペクトル測定とデータベースとの比較

赤外分光光度計により繊維状異物のIRスペクトルを測定し、データベースに保管されている各種繊維の波形と比較していきます。

繊維状異物のIRスペクトル

獣毛のIRスペクトル

ナイロンのIRスペクトル

ポリエステルのIRスペクトル 一致

アクリル繊維のIRスペクトル

その結果、異物の波形はポリエステル繊維の波形と一致することが確認できました。異物はポリエステル繊維であると推定されます。

ポリエステル繊維と推定されます

プラスチックボトルの付着物調査

プラスチックボトル表面に白色の付着物を発見し、調査を実施しました。
外観や質感、IRスペクトルによる成分推定を手掛かりに、異物の正体を探ります。

プラスチックボトルの上面に白色の異物が付着している

サンプリング風景

1.ピンセットで異物をサンプリング

まず外観観察を行った後、異物の一部をサンプリングします。粘り気のある質感を持つことから有機物と予測できます。

FT-IR機器画像

2.フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)

赤外分光光度計によりIRスペクトルを測定、有機物の種類に応じた波形が測定されます。

データベースに保管された各種波形との比較

3.データベース検索による成分推定

データベースで検索すると、アクリル樹脂の波形と一致しました。粘り気があることをふまえると…

アクリル系粘着剤と推定されます

ダンボール付着物の分析

下の写真はダンボール箱に白色の異物が付着したものです。まず、目視により外観観察を行ったところ、異物は白色の粉で、飛沫状に飛び散った形跡がありました。これは異物が何らかの液体に溶解した状態でダンボールに付着し、その後乾燥して析出したためと思われます。異物の一部を採取し、X線回折装置によりスペクトルを測定して異物の同定を行いました。

ライブラリーとの比較により、異物の主成分は硫酸カルシウム(CaSO4)であることが分ります。このダンボール箱が保管されていた倉庫は天井に石膏ボードが使用されており、老朽化により雨漏りが発生していたことから、浸水により石膏が溶解し、ダンボール箱に落下したものと思われます。

ダンボール表面に白色異物→異物を採取 異物のX線解析スペクトルとライブラリサーチ

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