分析事例

分析に使用する各機器のご説明とともに、弊社で扱った分析事例をご紹介します。
”外観検査による観察””測長や粗さ計測”“元素分析”“成分推定””薄膜の付着力比較”など各種分析を行うことで、お預かりした材料の性質や、その抱える問題と解決策を究明していきます。

走査型電子顕微鏡(SEM)

[SEMの原理]

走査型電子顕微鏡SEM)は電子線を試料表面に照射し、試料面から放出される二次電子反射電子を検出して試料の凹凸を観察する装置です。
倍率は数十倍から数万倍まで観察可能で、マクロ的な金属組織の観察からサブミクロンオーダーの薄膜観察まで、幅広い用途で観察が可能です。
また、付属のエネルギー分散型X線分析装置を用いることで試料表面の元素情報を測定することも可能です。

走査型電子顕微鏡SEM機器画像

走査型電子顕微鏡
(Scanning Electron Microscope)
日本電子製 JSM-5600LV
SEMの詳細説明

SEM原理 電子照射により得られる情報

[金属表面(摺動部)SEM観察]

図は動作不良を起こした工作機械の摺動部に用いられた金属部品の表面をにより拡大観察したものです。表面には無数の溝が残っており、摺動した際に摩擦抵抗を増加させたことが推測されます。 また溝は局部的なものではなく部品の表面全体に広がっており、製造時の表面加工不足が要因と思われます。

金属部品摺動部の表面観察

[ガス配管破損部SEM観察]

図は破損したガス配管の断面をにより拡大観察したものです。
写真に見られるような細かい無数の波模様は金属に繰り返し力が加えられて破壊が起きる疲労破壊の場合に現れる特徴的な模様です。
この模様の流れる方向から破壊がどの向きに進展していったかを推定し、破壊の進展方向が推定できれば材料に破壊が起きた場所を特定し、それを引き起こした要因を推定する手法のひとつとなります。

ガス配管破損部の拡大画像

エネルギー分散型X線分析装置(EDS)

[EDSの原理]

エネルギー分散型X線分析装置(EDS)電子線を試料表面に照射し、発生する特性X線を検出して試料に含まれる元素を分析する装置です。
周期律表のB~Uまでの元素が分析可能で、どのような元素が含まれるかを調べる定性分析の他、検出した元素の組成割合を調べる定量分析、SEMの画像に元素の分布を重ね合わせたマッピング分析などが測定できます。

特性X線発生の原理

[金属金具の元素分析]

図は金属製の金具表面をEDSで分析した結果です。
左のチャートから検出した特性X線のエネルギーを読み取り、含有する元素を特定する定性分析を行ってます。
この定性結果をもとに構成する元素の質量組成比を算出した結果が下の表になります。
主成分は一般的なステンレス鋼に含まれる鉄(Fe)・クロム(Cr)・ニッケル(Ni)で構成されており、特にクロムとニッケルの組成比についてはクロム18%・ニッケル8%であることから、このステンレス製金具はSUS304であると推測されます。

ステンレスの定性定量分析 (元素 Wt%) C 3.53,O 0.53,Si 0.33,Cr 18.1,Fe 69.7,Ni 7.86

[鋼材表面に施されためっき成分分析]

下図は切断した鋼材を樹脂に埋め込み、その最表面付近の断面について元素の分布測定(マッピング分析)を行ったものです。
左側の写真はSEMによる画像で右側のドット模様は元素の分布を表したものです。SEM像では3層に分かれているのが見て取れますが、このうち左上の領域にはAlとSiが分布しているのが分かります。これは鋼材を埋めた樹脂の成分と一致します。
鋼材の最表面付近となる真ん中の層にはZnが主体となって検出されており、右下の領域にはFeが主体となって検出しています。
樹脂に埋め込んで観察した鋼材にはZnメッキが施されていたと推定できます。

鋼材債表面の断面マッピング Al,Si,Zn,Feの元素分布

デジタルマイクロスコープ

[デジタルマクロスコープの原理]

デジタルマイクロスコープは試料に照射した光の反射光を検出して拡大観察を行います。倍率は50~500倍まで観察可能で、目視に近いマクロ的な組織観察からミクロンオーダーの測長まで、幅広い用途に使用できます。

デジタルマイクロスコープ 機器画像

デジタルマイクロスコープ
キーエンス社製 VHX-900
デジタルマイクロスコープ
詳細説明

[鋼材の組織観察(ファイバーフロー)]

下図は鍛造により成型されたボルト断面の金属組織をマイクロスコープで観察したものです。内部の金属組織を確認するため、ボルトは縦に切断したものを樹脂に埋め込んで研磨を行い、薬品により表面を腐食させています。(エッチング処理)
細かい湾曲した線が無数に流れているのが確認できます。圧延された鋼材には真っ直ぐな金属組織の流れが見られますが、鍛造製品のように加圧により成型された部品の場合、この金属組織の流れが変形して現れます。

ボルト断面のファイバーフロー 鍛造品の切断、樹脂埋め、研磨、エッチング処理の流れ

[プリント基板内パターン幅計測]

図はプリント基板をマイクロスコープで×50で観察し、プリント配線幅の測長を行ったもので、ミクロンオーダーの測長も迅速かつ正確に行えます。ズームレンズの倍率を上げれば金属表面に施されたメッキ層の観察にも有用です。

プリント基板の測長

FT-IR(フーリエ変換赤外分光光度計)

[FT-IRの原理]

フーリエ変換赤外分光光度計は主に有機物の組成を調べるために用いる装置で、固体・液体ともに数mgの試料で測定が可能です。
物質固有の赤外吸収スペクトルを測定することにより樹脂製品や異物について組成の推定を行ったり、グリスや作動油について新品との比較による変質や劣化の状況を調査することが可能です。

機器画像 FT-IR

フーリエ変換赤外分光光度計
日本分光製 FT/IR-610
FT-IRの詳細説明

FT-IRの原理 フーリエ変換赤外分光光度計の構造

[白色異物のFT-IRによる成分推定]

図は真空ポンプ内で採取した白色異物の赤外吸収スペクトルを測定したものです。
ライブラリーを用いて検索を行った結果、フォンブリングリスのピークパターンとほぼ一致しており、白色異物は真空ポンプ内で使用されていたフォンブリングリスの一部が染み出したものと推測されます。

真空グリスの成分調査

マイクロビッカース硬さ試験機

[ビッカース硬度計の原理]

マイクロビッカース硬さ試験機は4角錐の圧子を各種鋼材に押し付け、できた圧痕の大きさからビッカース硬さを算出します。マイクロビッカースの圧痕は非常に小さく、小さなサンプルでも測定が可能です。(JIS-Z2244:2009準拠)

マイクロビッカース硬さ試験機 機器画像

マイクロビッカース硬さ試験機
ミツトヨ製 HM-220D
マイクロビッカース硬さ試験機
詳細説明

くぼみ付け圧痕読取り写真 検体:鍛造ボルト断面 試験圧300g

弊社の硬さ試験機では試料面に測定ポイントをパターン配置し、自動でくぼみ付け・圧痕の読み取り・ビッカース硬さの算出を行うことができ、焼き入れ材の深さ測定や製品中の硬さ分布分析が可能です。

[焼き入れ材の硬度分布計測]

鋼材に焼き入れを行うと焼き入れを行った表面は硬く、焼き入れの届かない内部は柔かいままになります。下図はステンレス(SUS304)製の丸棒焼き入れ材の断面について焼き入れにムラがないことを確認するために鋼材断面の硬さ分布を測定したものです。
予め測定ポイントをパターン配置して硬さ試験を行い、得られた結果を色違いの分布図で表記しています。ビッカース硬さの数値だけではなく、ビジュアル的な評価も可能です。

SUS304焼き入れ鋼材の硬さ分布

表面粗さ形状測定機

[表面粗さ形状測定機の原理]

表面粗さ形状測定機では、鍍金製品・摺動部品・塗膜材料などの表面に円錐型のダイヤモンド測定子を接触させ、表面をなぞることで材料表面の凹凸を評価します。各測定規格により断面曲線・粗さ曲線・うねり曲線が得られます。

表面粗さ形状測定機 機器画像

表面粗さ形状測定機
東京精密製 サーフコム480A
表面粗さ形状測定機の
詳細説明

[ステンレス鋼材の表面粗さ計測]

下図はステンレス製の鋼板の表面を粗さ測定した結果です。目視では確認できない粗さをRaRzRmaxとして数値で評価しています。

ステンレス鋼板表面の粗さ曲線

超薄膜スクラッチ試験機

[超薄膜スクラッチ試験機の原理]

スクラッチにより界面剥離を生じさせ、その時の荷重から薄膜の密着強度を評価します。原理は以下の通りです。
弾性アームに取り付けられた、一定の曲率半径を持つダイヤモンド圧子をZ軸方向に荷重をかけながら、X軸方向にスクラッチします。このときカートリッジ全体をY軸方向に励振させた状態で圧子を押し付けていきます。
圧子と膜面に生じる摩擦力により、圧子はカートリッジに対して遅れを生じます。このとき、弾性アームに取り付けられた磁石と、カートリッジに取り付けられたコイルの相対位置が変化して電気出力を発生します。
膜が剥離した際も前期同様電気出力が生じます。この電気信号変化を読み取ることで剥離検出、その際の荷重を算出します。

超薄膜スクラッチ試験機 機器画像

超薄膜スクラッチ試験機
(株)レスカ製 CSR-2000
超薄膜スクラッチ試験機の
詳細説明

超薄膜スクラッチ試験機の原理 [スタイラス写真]左図は実際に使用するスタイラス(先端にダイヤモンド圧子)の写真です。

[薄膜のスクラッチ試験結果]

下図は酸化膜をスクラッチ試験終了後、デジタルマイクロスコープで観察したものです。図2はその計測結果グラフです。
スクラッチ開始後、図1左側の点にスタイラス先端(ダイヤモンド圧子)をおろし、励振しながら進んでいきます。荷重を増加させながらスクラッチしていき、20sec強で電気信号に大きな変化が生じています。このとき薄膜表面では、図1の様に剥離が生じました。グラフで確認すると、荷重が85mNで剥離したことが解ります。この剥離した地点が臨界荷重値です。

スクラッチ試験結果 観察写真と結果のグラフ 破壊点(臨界荷重値)の観測
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